世相川柳

高校生 世相ばっさり 川柳に
2010年11月15日


展示した時事川柳を眺める来場者=岡山市中区土田、東岡山工業高校(同校提供)

■「不景気でたばことおやじがねをあげる」/東岡山工高 文化祭で披露


 尖閣諸島やテロ関連情報のネット流出、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件……いまの日本の社会は高校生の目にどう映っているのだろうか。県立東岡山工業高校(岡山市中区土田)の文化祭で発表された生徒たちの時事川柳からのぞいてみた。(平井恵美)


 嘘(うそ)崩し自分の嘘を組み立てる
(3年 小川護)


 関西の闇社会やバブル後の大型経済事件を暴いてきた大阪地検特捜部。その主任検事が、郵便不正事件の捜査で証拠を改ざんしていた事件は、社会に衝撃を与えた。徹底した捜査で巨悪に挑んでいた「正義の味方」が、その捜査のなかで嘘を組み立て、無実の犯罪者を作ろうとした検察への目は厳しい。


 不景気でたばことおやじがねをあげる
(3年 藤田拓也)


 10月からの増税で、大幅に値上げされたたばこ。最優秀句に選ばれた句には、嘆く愛煙家の姿とともに、いっこうに上向かない日本経済の状況も描かれている。


 秋の旬ぶどう柿くり毒きのこ(3年 森岡尊成)


 今秋はキノコが豊作だったが、食用と間違えて毒キノコが売られ、食中毒になった事故も。「毒」が盛り込まれた川柳らしい一句。


 海外のニュースに目を向けた作品も。


 テスト後に私は逃げたいチリの穴
(2年 中野夏美)


 茶会では漂うかおり「反オバマ」
(1年 金光勝則)


 チリの銅鉱山で起きた落盤事故後、地下約700メートルに閉じ込められた作業員33人が約2カ月後に奇跡的に救出されたことも、中間選挙で大負けした米大統領も題材になる。


 宮崎じゃどげんもならんと国政へ
(3年 岩間翔樹)


 県知事を1期で辞めると表明した東国原英夫・宮崎県知事。県の産品のPRや観光客誘致に貢献したが、国政や東京都知事選への出馬をにおわせる発言を繰り返して物議も醸してきた。そんな姿を詠んだのか、それともこの知事をしても、地方分権が進まないことの高校生なりの思いか。


 埋蔵金掘って出たのは債務だけ
(1年 三浦大輝)


 張り切って仕分けしたものの、いつの間にかうやむやになった税金の無駄遣い。あるはずだった埋蔵金もどこへ消えたか。若者も怒っている。


 やはり、題材の筆頭は、頼りなげにも見える国内の揺れ動く政治なのかもしれない。


 川柳のネタが尽きないこの政治
(3年 白髭和馬)


■04年から全校生詠む


 東岡山工業高校は、毎朝の新聞記事をスクラップし、「東工NIE新聞」として全校生徒に配布するなど、NIE(教育に新聞を)活動に力を入れてきた。その一環として、2004年、国語科の教諭が時事川柳を提案。毎秋、国語の授業で全校生徒が川柳を詠み、11月の文化祭で発表してきた。


 今年は10月末から11月初旬にかけて、全校生徒(818人)が川柳を詠んだ。電気科3年で、図書委員長を務める秋山豪さん(17)は「ひねり過ぎると意味が分からなくなり難しい。今年で3回目なので詠み方が分かってきました」。NIEを担当する赤沢大史教諭は「生徒たちが休み時間に新聞を広げて、指を折りながら懸命に川柳を考えている姿はいいですよ」と話す。学年が上がるにつれて完成度が高まっていくという。


 今年はプロ野球ドラフト会議で日本ハムが交渉権を得たハンカチ王子こと斎藤佑樹投手(早大)や、尖閣諸島問題をテーマに選ぶ生徒が多かった。


 校長や進路指導の先生ら12人が審査員を務め、最優秀句、優秀句を選んだ。ただし、「生徒に思い入れがある先生は、作品がよく見えてしまう」という理由から、担任の教諭や各科長は審査員にはなれない。


 1~3年生の全21クラスに、朝刊を置いている。時事川柳の取り組みについて、赤沢教諭は「新聞で得た情報にひねりを加え、川柳にするには、頭をフル回転させ、表現力も必要。新聞に触れる機会も多くなる」と話す。

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